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三本足の白い猫

   ある昼下り、私は電車に乗って窓の外を眺めていた。少し先で、ふわりと白く、なにかが動いた。猫だ。白い猫が、春と同じような軽さで向こう側の線路上をとことこと歩いている。電車は猫に追いついた。あら、三本足なのね。すぐに見えなくなった。私は電車に乗って、窓の外を眺めていた。    猫は、あの三本足の白い猫は、まるで自由の意味を知っているよう

背の跡

   年の瀬、ある夜のことだった。わたしは夢の中で、絨毯の張られたロビーに立っていた。辺りは厳かな闇だ。ぼんやりと照明が、視界をより一層不気味に包み込んでいた。暗闇には温度があった。このロビーは上階のようだ。すぐ横に、下へと続く階段がある。わらわらと、人が昇ってきた。親子が三組、わたしの隣で立ち話をはじめた。    子供が一人、親から離れ

夜とバス

   わたしはバス停に立っていた。学校へ行きたいのですが、と訊くと「最終的にはそこへ行きますよ」と言われた。わたしは乗り込み、バスは発車した。随分と走った。気が付けば夜だった。外は寒いのだろうか。曇った窓ガラスを拭うと、異国の建物がたつ街だった。夢だ。わたしは覚める方法を探った。    運転手は偽者だった。乗客はみな、同じくらいの年齢か、

夢の中で、これは夢だって気付いちゃうことがあるんだ

明晰夢の最中で、夢から覚める方法を探す。夢の中にいるときは、どうしてあんなにものがよく見えたり、わかったりするのだろう。 ここ数年、時間の感覚がループしている。厳密に言えば、2016年4月ごろから12月末までの時間の感覚のまま、この2年と数ヵ月が圧縮されている。 死んだらじぶんが一番幸せだと感じた時間に閉じ込められるという想像をしたことがある。

透明にすべて

ここ最近、ずっと光に感動している。季節の変わり目って光がうつくしいのでしょうか。 窓の隅に溜まった光、薄く水色がかった空気、信号機 床でねっころがっていた。 わたしのすぐとなりにはスマホがある。その画面が部屋の景色を映している。おかしいなと思った。部屋の、遠くの壁が映っていたのだ。 ちゃんとわかるひとには、光がどのように反射してどのよう