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夜に出会った

夜。建物が一つ、また一つと、密やかな眠りを始めます。ぽつ、ぽつと明かりが消えました。一番深い場所、あなたは。通りの猫が鳴きました。静寂あなたは、水の音。一番深い場所で、一番遠い夢、ぶくり泡それは、記憶の向こう側身体は毛布あなたは、水の音。あなたの一番深い場所で、ぼくりぼくりと泡が鳴る。脊椎がふわふわになった街灯は一人ぼっちぼくり、

星の仕分け人

   ぽちゃん、ぽちゃん。 星の仕分け人は、星を一つ一つ丁寧に眺めては「いきもの」がいる星とそうでない星とを仕分けます。「いきもの」がいる星は特別高く売れるのです。反対に、毒の星や炎の星は、危険なので売ることはできません。そういった星々は処分しなければなりません。「これは青くてきれいだね」仕分け人は青い星を手に取り、じっくりと眺めまし

花を摘んだ青年

  その国では、花を摘むことが大罪でした。  青年には弟がいました。弟は病のために外に出ることも叶いません。青年は外に出かけ、さまざまな景色をみては弟に風景の話をし、落とし物を拾っては、お土産にと持ち帰りました。小さな部屋が、弟の世界のすべてでした。「今日は湖が金色で、鴨がぷかぷか浮かんでいたよ」「空が白かった、その先に、水色と薄いオ

十六時の猫

   知らない雨が降った。山奥から起き出したカラスがわんわんと鳴く頃、空はピンク色に焼けた。大きな光が形のひとつひとつを白く刻み、辺りの影を青く落とした。一息ついて、人間たちは慌ただしく飛び出した。わたしは形の隙間で、カラカラになるまで寝転がった。穏やかな空気が少しだけ「寂しい」を連れ戻す頃、わたしはやっと起き上がって水溜まりへいく。

日溜まりにころがる

  朝、腹いせのように鳴らされたトラックのクラクション音にめげて会社を辞めた。流れで彼女に一方的な別れ話をLINEで送り、そのままブロックした。ネット上のアカウントも全て削除し、スマホの解約まで済ませて、十三時。駅前のベンチで、二五〇円で買った生春巻を食べている。積み重ねてきたものを全て失った記念の食事である。失うことには半日もかからなか