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三本足の白い猫

by 中村菜月

   ある昼下り、私は電車に乗って窓の外を眺めていた。少し先で、ふわりと白く、なにかが動いた。猫だ。白い猫が、春と同じような軽さで向こう側の線路上をとことこと歩いている。電車は猫に追いついた。あら、三本足なのね。すぐに見えなくなった。私は電車に乗って、窓の外を眺めていた。

   猫は、あの三本足の白い猫は、まるで自由の意味を知っているようだった。あの猫はいつ、なぜ、足を一本どこかへやったのだろう。悲惨な瞬間があったのだろう。けれども、それを知ることに特別な意味は無いように思えた。いびつであることが特別であると思うことには意味が無いように思えたのだ。

   自由とは何だろう。制約の内側で縛られることなく動きまわること、だろうか。ううん、もう少しよく考えた方がよさそうだ。けれども、あの猫はどこまでも行くのではなく、行けるところまで行って、そこで休んだり、そこそこで帰ったりするのだろう。それはやっぱり、自由というものであるようだ。

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