LOG IN

星の仕分け人

by 中村菜月

   ぽちゃん、ぽちゃん。 星の仕分け人は、星を一つ一つ丁寧に眺めては「いきもの」がいる星とそうでない星とを仕分けます。「いきもの」がいる星は特別高く売れるのです。反対に、毒の星や炎の星は、危険なので売ることはできません。そういった星々は処分しなければなりません。

「これは青くてきれいだね」

仕分け人は青い星を手に取り、じっくりと眺めました。けれども、「いきもの」はいないようです。

 「……きっと売れないさ」

仕分け人は、青い星をそっとポケットにいれて家へと持ち帰りました。

  ある日、仕分け人はポケットから水が滴るのをみました。手を入れると、水が溢れます。星から水が湧き出ているのです。仕分け人はびっくりして、星をコップに入れました。けれども水はすぐにコップを満たし、溢れ始めます。水槽に入れても、浴槽に入れても、水はとくとくと溢れだし、いよいよ家中を水浸しにしてしまいました。それでも水は溢れ続けます。

「このままでは、恐ろしいことになる。家が沈み、街も沈んでしまう。」

仕分け人は、星を持って地下室へと駆け込みました。重たい扉を開けると、そこには真っ暗な、底の見えない深い深い湖があります。湖の中では、ちらちらと光るものが見えます。星です。売れない星や、危険な星はここへ処分しなくてはならないのです。

「さようなら、美しい星。あなたはとても素晴らしい、けれども仕方がありません」

 仕分け人は湖の中にそっと星を沈めました。すると、星から溢れた水はくるくると、星の中へと戻っていきます。やがて星は闇の奥へ、奥へと沈んでいきました。その後のことを、仕分け人は知りません。けれども、彼はその美しい星のこと、とくとくと湧いた水のことを、ずっとずっと忘れないでいました。

  遠い遠い時間の先、深い夜の部屋でひとり、男の子が目を覚ましました。窓から外を眺めます。空の奥は真っ暗闇です。ちらちらと星が瞬きます。じっと目を凝らしました。

「ほんとうに、僕たちはここでひとりぼっちなのかな。僕たちがここにいるってこと、誰も知らないのかな」

男の子は、深い闇の中にこの星がぽつんとあることに、急に寂しくなったのです。きっと、誰かがこの星を落としてしまったんだ、と思いました。この闇の夜空をずっとずっと泳いでいった先に水面がある、そんな夢を見ていた気がしたのでした。

OTHER SNAPS